女性は人生のステージごとに、さまざまな身体の変化を経験します。
時には、その変化が心身の負担や不満、病気などを招くことも。
身体の変化と上手につきあい、人生のどの年代のステージも健康に過ごしたいものです。
女性のライフステージと健康について考える時、見逃せないのが”エストロゲン”の働き。
エストロゲンは、卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつ。
女性らしい身体をつくったり、妊娠のための準備を整える役割があります。
その他にも丈夫な骨やしなやかな血管、みずみずしい肌を保つなど多彩な働きがあり、生涯にわたり女性の健康に深くかかわります。
女性がたどる人生のステージと身体の変化、それに伴うエストロゲンの分泌の状態を知って健やかな身体を維持していきましょう。
Contents
すくすくステージ(赤ちゃんから幼児期~小児期)
この時期のエストロゲンの分泌は微量。
女性ならではの特徴もまだそれほどあらわれませんが、身長が伸び、体重が増えて身体の基礎がつくられます。
この時期は、健やかな発育を応援するために身体の構成成分となるたんぱく質やエネルギー源となる糖質、脂質をしっかり摂ることが大切。
身体の働きを助け、代謝をサポートするビタミンやミネラルも欠かせません。
中でも丈夫な歯や骨をつくるカルシウムは、この頃の”貯蓄”が後々のステージで大変役立ちます。
カルシウムを含む牛乳、チーズ、小魚、緑黄色野菜などを好き嫌いなく食べる食習慣は、この時期に見につけておきたいものです。
思春期ステージ(10~18歳)
小児期と同様、身長が伸び、体重が増えて精神的にも大きく成長します。
エストロゲンなど女性ホルモンの分泌量も次第に増加。
胸がふくらむなど、だんだん大人の女性の体型へと変化していきます。
初潮が訪れる10~14歳頃、女性ホルモンの分泌量は急激に増えますが、卵巣の働きが未熟なため、分泌バランスは乱れがち。
月経周期が不安定になるなど、さまざまな体調トラブルもみられます。
たとえば、この時期に多いニキビの悩みもそのひとつ。
女性ホルモン、プロゲステロン、プロゲステロンが皮脂の分泌を過剰にし、毛穴を詰まらせることが大きな原因となります。
思春期は、勉強やクラブ活動で忙しくなる時期ですが、睡眠をきちんととり、身体や肌の新陳代謝を促しましょう。
また、月経がはじまると鉄分を失いやすくなり、貧血に悩む人も少なくありません。
レバーやひじきなど、鉄分を含む食品をバランスよく取り入れて、健やかな身体づくりを目指しましょう。
成熟期ステージ(20~30代)
女性ホルモン、エストロゲンの分泌がピークを迎え、月経周期も安定します。
社会に出て働くようになったり、結婚、妊娠、出産を経験したり。
体力的にも最も充実したステージと言えるでしょう。
美容への関心も高くなり、理想のスタイルを目指して無理なダイエットをする人も。
また、キャリアアップのために仕事を頑張りすぎたり、恋愛や結婚、出産や育児の悩みを抱えてしまうこともあるようです。
栄養の偏りや慢性的な疲労、過剰なストレスは女性ホルモンの分泌を乱す原因に。
月経困難症やPMS(月経前症候群)といった体調トラブルを招きやすくなります。
人生の転機が続くと何かと忙しく無理をしがちですが、そんな時こそ規則正しい生活を大切に!
栄養バランスの良い食事や十分な睡眠をとりましょう。
スポーツを楽しんだり趣味の幅を広げてストレスを上手に発散させるのもいいアイデアです
精神の安定は女性ホルモンの分泌にもつながるので、身体と心の両面のケアをしていくことが大切です。
更年期ステージ(40代)
40代に入ると体力的に衰えがみられるようになり、卵巣の働きも徐々に低下。
女性ホルモンの分泌量も減少していきます。
40代後半には更年期を迎える人も多いようです。
更年期とは、閉経をはさむ前後10年くらいの期間のこと。
女性ホルモン、エストロゲンの分泌量が急激に減少し、身体のコントロールを司る自律神経の働きが妨げられます。
その影響で起きる、さまざまな不快な症状が更年期障害といわれるものです。
ほてりや発汗、イライラやうつなど、更年期障害の症状は心身の両面に起き、程度や期間もさまざまで個人差があります。
「いつかは落ち着くもの」と柔軟に考え、あまり気にしすぎないことも上手に乗り換えるコツ。
食事などから症状をやわらげる成分をとることもオススメ。
*大豆…大豆に含まれる大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモン、エストロゲンに似たはたらきをし、更年期の不安定なバランスを支えるのに役立ちます。
*ポリフェノール…野菜や果物に含まれる色素や苦みの成分。女性の体調維持に大切です。
*ローヤルゼリー…不調を遠ざけコントロールをととのえるのによいとされています。
エストロゲンには、女性らしい身体をつくり、妊娠を司るほか、悪玉コレステロールを抑える働きもあります。
このため、分泌量が低下すると肥満やドロドロ血を招く原因に!生活習慣病のリスクも高まります。
また、乳がん、子宮癌にかかりやすいのもこの時期。
更年期ステージを迎えたら肉や脂などの脂質の摂りすぎに注意し、スポーツなど適度な運動を心がけて健康管理に努めましょう。
定期的に健康診断を受けることも大切です。
更年期によくみられる症状
●ほてり、のぼせ、発汗(ホットフラッシュ) ●肩コリ ●手足のしびれ ●うつ ●不安感
●イライラ ●月経周期が早まる、遅れる ●月経の出血量の変化 など
更年期に気をつけたい不調や病気
●肥満 ●高血圧 ●高血糖 ●脂質異常症
●乳がん、子宮がん など
老年期ステージ(50代~)
更年期が過ぎて老年期ステージが始まると、しわや白髪が増え、視力や聴力、筋力、記憶力などの低下を感じる人も。
女性ホルモン、エストロゲンの分泌もゼロに近づいていきます。
エストロゲンは、身体の女性らしさをつくりだす一方で、骨からカルシウムが溶け出すのを防いだり、脂質の代謝をサポートして生活習慣病を遠ざけるといった役割を持つので、分泌がないとこうした働きも衰えます。
骨がスカスカになって変形したり、折れやすくなる、骨粗鬆症にかかる心配もでてきます。
そうすると骨と骨の間でなめらかな動きを支える間接にも大きな負担がかかるようになります。
骨や関節にトラブルが起き、自由に動けなくなる、いわゆるロコモティブシンドローム状態に。
外出がままならなくなると人生のいろいろな楽しみが奪われてしまいます。
また、血液中の脂質成分のバランスが悪くなると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞も起きやすくなります。
他にもエストロゲンは記憶や認知機能にも深くかかわるとされ、閉経後はアルツハイマー病の発症リスクが高まるとも言われています。
マイナス面ばかり多いように感じる老年期ステージですが、失いがちな働きを補うために何が必要なのか理解を深め、そのためにできることを心がければ、いつまでもイキイキとした人生を送ることができます。
たとえば、丈夫な骨の維持にカルシウムを補い、その定着や吸収に役立つCBP、ビタミンDなどの成分を一緒にとるのもひとつの手段。
また、毎日の運動を習慣にして、健やかな代謝を促したり、筋力を維持してロコモの防止に努めましょう。
新しい分野の趣味や勉強にチャレンジし、脳の働きの活性化をはかるのもオススメです。
若いころから培ってきた知識や経験を活かし、人生の花を満開にして存分に楽しめるステージにしましょう。
閉経後に多いトラブルや病気
●白髪 ●シワ ●骨粗鬆症 ●白内障 ●高血圧 ●糖尿病
●心筋梗塞 ●脳梗塞 ●認知症 ●ドライマウス など